最近、こんな記事を読みました。
サブタイトルに『「お得かどうか?」の問いが実はナンセンスだ』とあり、損得を考えるべきではない的なニュアンスを感じますが、どうなんでしょう?
リスクとリターンで考える必要がある
この記事は、
・戻り率115%の学資保険はお得?
・学資保険のリスクとは?
(1)元本の保証性が弱い(信用リスク)
(2)金利上昇リスク
(3)資金繰りのリスク
(4)保険機能は大してお得ではない
・学資保険は良心的?
・学資保険よりお得な運用方法は「繰り上げ返済」
・おカネに色はついていない
・学資保険なんてどうでもいい
という構成になっています。どういう内容かは割愛します。興味がある方は読んでみてください。
最後の見出しでは「学資保険なんてどうでもいい」と言っています。
結局、学資保険はお得かどうか?という問いは、問い自体に問題があるといえる。リターンとリスクはセットで考える必要があり、なおかつ教育資金という狭い範囲だけで考えること自体が間違いだ。
ということみたいです。そして最終的に
おカネに色はついていないと説明したとおり、このおカネは教育資金、これは住宅ローンの繰り上げ返済用、と過剰にカテゴリを分けて貯蓄することはかえってマイナスの効果しか生まない。重要なことは手元の資金をリスクとリターンで最適な形で使い、運用することだ。
と言うことなんですが・・・私にはこの意味が分かりません。
資金全体をリスクとリターンで考える場合、それを何かに一括投資するのであれば、その1点だけで評価できますが、実際には学費が必要で住宅ローンも返済しないといけないという現実があります。
その現実に合った資産配分をすることでリスクとリターンを調整し、資産全体をコントロールするのでは?と私は思うんですが・・・「そんなの関係ない」って言われたら・・・どうやって最適化するの?って思います。
学資保険より住宅ローンの繰上返済の方が得
この記事で、学資保険と住宅ローン繰上返済を比べた場合、繰上返済の方が得だという事に触れています。
学資保険でおカネを貯めることと、繰り上げ返済で借金を返済することとは全然違うのでは?と疑問に感じた人もいるかもしれない。もちろん、貯蓄と返済はまったく違うが、手元にあるおカネをどのように使うか?という視点で「教育資金」とか「住宅ローン」といった余計なカテゴリーを取り払えば、いちばん得な使い道を客観的に考えるべきというアドバイスになる。おカネに色はついていないため、バラバラに考えるほうが間違っているわけだ。
この場合、将来の決まった期間に必要な学費を学資保険で準備しようとしていたものを繰上返済に充てるわけですから、学費はなくなります。
その無くなった学費はどうするんでしょう?単純に教育ローン等で借りるという事になるんですかね。その教育ローンの借入れ金額、金利、返済期間から支払利息を計算しても繰上返済が「得」なんですかね?
悪意のある言い方をすれば、「学費は借金してでも繰上返済をすべき」とも解釈できます。
同記事で将来の金利上昇が学資保険のリスク(より有利な金で運用できない)とされていますが、金利が上昇した時点で教育ローンもかなりリスクになる気もします。
教育資金とか住宅ローンといった余計なカテゴリを取り除いて一番得な方法が繰上返済であっても・・・ノーリスクでカテゴリを取り除く事ができればそれがベストでしょうが・・・教育ローンとか奨学金とか別のリスクが浮上していきます。
私個人としての意見は、ある程度カテゴリは必要だと思います。
おカネに色はついていない
「おカネに色はついていない」・・・それはそうだと思います。だからと言ってお金をカテゴリ分けせずに常にお得だけを追っていけるかと言えば・・・それは無理でしょう。
将来の金利上昇リスク、銀行・保険会社の信用リスク、物価上昇による生活費の資金繰りリスク・・・その様々な将来の不確実性を正確に予測できる人はいません。
であれば、そのリスクを分散し将来の決まった期間に備えるという意味で学資保険は選択肢として有益だと私は考えています。
損得よりも「より確実」だと思う手段を取り入れておくことは資産を守る上でも大切だと思います。
「おカネに色はついていない」・・・だから自分達のライフスタイルに合った色をつけるんです・・・って私は思います。
資産の活かし方を考えるきっかけ
この記事の良し悪しはひとそれぞれで違うと思います。ただ、
「教育資金を貯めるなら学資保険」という名称やイメージに流されずに判断するのがベターだ。
これは大切だと思います。
何の考えも意図もプランもなく学資保険を利用するのではなく、自分達の将来設計、ライフプランにおいて、何が必要で何が不要なのか、ちゃんと考えて選択できるようになることはとても重要だと思います。